ねりエサ
エサは基本的に市販の配合飼料を使用しています。それで十分とも思いますが、たまには加熱や乾燥、長期保存をしていない生のエサを与えた方が良いかも知れません。動物食性の中型シクリッドの場合、主には配合飼料を利用して時々生き餌や冷凍飼料を使う人が多いのではないでしょうか。植物食性の熱帯魚の中にはキュウリやレタスを食べる魚種もあるようですが、こういった野菜には見向きもしない魚も多いと思います。藻類食の魚には、水に沈めた植木鉢や石に直射日光を当てて藻を生やし、これを飼育水槽に移して与えることもありますが、これは生産量が限られてしまいます。Dr. Ad Konings編の"ENJOYING CICHLIDS"という本に「シュリンプ・ミックス」というねりエサの作り方が紹介されています。今回は「補助的に使用する植物質主体の新鮮なエサ」というコンセプトで出来るだけシンプルなものを作ってみました。
材料はエンドウ豆と粉末状のゼラチンだけです。さやを剥いて豆の部分だけ使用します。剥き済みのグリーンピースを買って来た方が楽です。さや3つ分では少なすぎるので沢山剥きました。これで1日分です。新鮮な枝豆が入手出来る季節になったら枝豆で作ってみようと思います。
少量ですので小さいすり鉢で破砕します。魚の消化管にかかる負担を減らすため完全にすり潰します。時間と力を要する作業です。
このままでは水に入れたときにすぐに拡散してしまいますので、粉末のゼラチンを少量加えて混ぜ込み、粘りをもたせます。ゼラチンの効果が出るまで数分間混ぜ続ける必要があります。ちょうど良い粘りになるようにゼラチンの量を加減して下さい。ゼラチンは溶けやすい粉末のものを使います。スーパーで売っています。私も食用のゼラチンを買ったのは始めてですが、お菓子の材料について全く知識のない人も多いと思いますので念のため注意しておきますと、良く似た用途に使われる寒天(多糖類)とは全く別物です。ゼラチンの主成分はコラーゲンという蛋白質です。植物由来の寒天の方が良いかも知れないと言う記述も見たことがあるので、試してみる価値はありそうです。
水溶性試験です。水を張ったグラスにねりエサを少量投入。1枚目の画像は投入直後、拡散や膨張は殆ど見られません。2枚目は約10時間後、多少ふやけているように見えますが、散らばってはいません。膨らみすぎてもいないと思います。3枚目は10時間後のものを弱く撹拌してみた様子、やはりバラけ易くなっています。しかし、これなら魚に与えてもまあ大丈夫でしょう。
輸入書籍によるとC. foaeは植物食性ですが、幼魚には好評です。殺到してすぐに食べてしまいました。同じ水槽のT. mooriiはちょっと近づけない感じです。T. otostigmaも食べました。ただし、C. foae、T. mooriiとも成魚の方は食いつきが今ひとつの感じでした。ただ一般に成魚は新しいエサに慣れるのに時間がかかりますので、慣らせばもっと食べるようになるかも知れません。
今回作ってみたのは、配合飼料中心の給餌で「補助的に使用する植物質主体の新鮮なエサ」です。新鮮な植物には配合飼料には少ない何らかの成分があるかも知れないという想像に基づいています。このねりエサ自体の栄養バランスは良くはないと思います。ねりエサ主体にするなら、エビや魚のすり身、他の野菜、ビタミンなどを混ぜる必要があるでしょう。また、魚の食いつきを良くするためにはアミノ酸などの添加も効果が期待されます。破砕した食材は酸化され易くなりますので大量に作って冷蔵するより用時調製した方が良いと思います。
ねりエサ 2
大豆(枝豆)を主な材料にしたねりエサも試作してみました。生のまますり潰します。かなり大変な作業です。
栄養バランスを考えて(?)、甘エビ、海苔、ゴールデンキウィ(!)を加えてみました。すり潰して混ぜます。これも労力を要します。
粉末ゼラチンを加えてよく混ぜると出来上がり。今回のものは上のものよりも水中でバラけやすく、魚の食いつきも少し悪いようです。改善の必要があります。